コラム

「しょうぎーく」が考える将棋上達法

「しょうぎーく」は、読むだけで将棋が強くなり上達するサイトを目指して立ち上げたものです。でも、実際に何をしたら上達なんてするのでしょうか? そもそも「将棋が強くなる」ってどういうことなのでしょうか? ちょっと本気で考えてみました。

将棋の上達法を全部挙げてみる

①実戦

将棋の一番の上達方法は、実際に対局することだと言われています。通信教育で空手を習っている人よりも、ストリートファイト(路上格闘)常連のほうが強そうですよね。
対局相手・機会としては、友達、道場、大会、ネット、プロやプロレベルの人達との指導対局、研究会開催などが考えられます。最近では将棋ソフトとの対局も初級者からプロレベルの人達にまで取り入れられるようになってきました。
しょうぎーくでは、コラムや上達法の中でレベルに合わせた対局方法、対局の場を提案します。

②棋譜並べ

奨励会員やプロ棋士が、必ずと言っていいほど取り入れている勉強法です。昔は将棋年鑑という辞書みたいな本を全部並べるとか、棋士室に置かれている棋譜用紙を手書きで写して家に帰って並べるなど、家内制手工業みたいなことをしていました。現在ではコンピュータが普及したことで誰でも手軽に、大量の棋譜を並べることができるようになっています。
将棋世界や、マイナビ本にも棋譜が付いていますし、ネット上では将棋DB2のような棋譜の無料データベースもあります。並べるだけである程度強くなれるとは思うのですが、実力がないと一手一手の意味がわからなくて、手を動かしているだけになってしまいがちです。指先の力とか、マウスのクリック力とか無駄に鍛えてもしゃーないですからね。

③観戦

インターネット中継やテレビで対局を観るだけの将棋ファン、通称「観る将」も増えてきているようです。対局サイトの将棋倶楽部24将棋ウォーズでも、高段者の対局レベルはプロと遜色ないというか、プロかソフトなので勉強になりますね。コンピュータソフト同士の対局サイトfloodgateはプロが勉強に使うほどです。
連盟による棋譜中継サービス、NHK教育やケーブルテレビの他にも、ニコニコ生放送やabemaTVなど新しい将棋観戦方法も出てきているので注目です。
ただ「観る将」をエンジョイするにしても、ある程度の棋力があったほうが面白いと思います。初段か二段ぐらいまで辿り着くと、時間をかければ解説のほとんどを理解できるようになるはずです。

④終盤問題/詰将棋

将棋のエンディング、終盤の訓練についてです。必死や寄せの問題、詰将棋をたくさん解くことが将棋上達に直結すると言われていて、その通りだと思います。
詰将棋に関しては様々な議論があるところで、故米長邦雄永世棋聖は「将棋図巧と将棋無双の200題を全問解ければ四段になれる」と言っていました。将棋図巧と将棋無双というのは、超長手数で鬼難しい江戸時代の詰将棋の問題集のことです。奨励会員やプロ棋士達は「詰将棋パラダイス」という月刊の超難解詰将棋問題集を解いて終盤力の訓練をしている人が多いです。
渡辺竜王や増田康宏 四段は長手数の詰将棋をあまり解かないようです。デジタルで実戦的な現代棋士的な感覚だと思います。でも、藤井四段は詰将棋を解きまくっていて、どちらが正しいのかは難しいところです。
しょうぎーくとしては、短手数の詰将棋をたくさん解くことをお奨めします。

⑤定跡の勉強

定跡書を読む、講座などで習う、感想戦などで教えてもらうなどの勉強法があります。定跡の勉強と聞くと「うわっ、暗記かよ」って身をすくめてしまう人が多いです。実際、丸暗記してそのまま実戦に同じ局面が登場することは、○研ゼミでもあるまいし、よくあることではありません。
ただ、全く同じではないにせよ、将棋は似たような局面が繰り返し現れるので考え方を応用することはできます。しょうぎーくは定跡を楽しく学んでいけるような更新を心がけます。

⑥次の一手

次の一手は、詰将棋の影に隠れてなかなかかえりみられない勉強法です。確かに、トリック的に作られた次の一手をたくさん解くことが効率のよい上達に繋がるかは微妙です。
もっと簡単な「手筋の一手」レベルですと、初級者~アマ有段者まで多くの人の上達にとってメリットがあると考えられます。しょうぎーくは手筋を超重要視します。

将棋が強くなるとはどういうことか

将棋について考えるとはどういうことか?

なんか哲学的な感じになってしまいました。アマ10級の脳とアマ初段の脳はどう違うのでしょうか――とか言い出したら、茂○健一郎みたいですね。さらに言うと「将棋について考えるとはどういうことか?」という問いに繋がります。む、むずい……。

答え:形を覚え、形と形を繋げる力

ここから橋本の持論を展開しますよ。

将棋が強くなるということは、将棋というゲームで使うことができる技を知り、一つの技から次の技へと繋げることができるようになることです。形を覚え、それを頭の中で上手く組み合わせていけるようになることです。ここで言う「形」というのは「手筋」と置き換えることもできます。

序盤の手筋は「攻めの形」「守りの形」「囲いの形」
中盤の手筋は「それぞれの駒による手筋1.駒得する手筋2.効率よく働かせる手筋」
終盤の手筋は「詰みの形」「寄せの形」。

昔、羽生先生が脳科学の番組で、将棋の盤駒を使った記憶力実験をされたことがありました。羽生先生は、実際に将棋の実戦例として現れた局面なら僅かな時間でも記憶することができたのですが、完全にランダムに駒を配置された場合は他の人達と成績は変わりませんでした。
何が言いたいかというと、羽生先生でさえ将棋を一定の形の集まりとして認識していることです。全くのゼロから考えているわけではないのです。

結局、将棋って覚えゲー?

少なくとも、そういう部分があることは否定しません。でも、歴史の年号を覚えるタイプの暗記じゃなくて、数学の公式を覚えるタイプの暗記です。決まっていることではなく、なぜそうなるか、しっかりと説明できる暗記です。というか、どんな面白いゲームでも基本的な部分に暗記要素・反復要素があるのは当たり前じゃないでしょうか。
サッカーというゲームは全体の流れが面白いゲームですが、サッカーを構成しているのは個々の選手の「蹴る」「トラップする」「走る」などといった基本的な技術です。この部分部分の形がしっかりしていないと、ぐっだぐだの試合になってしまいますよね。
将棋も手筋や詰みに関して覚えたり、反復訓練をする必要がありますが、それを繋げて実戦で実現するのは実に楽しい経験です。格ゲーでコンボが決まるような感じ。謎が全部解けていくようなあの感覚。
入口としては左脳的な「暗記」なんですけど、反復していく中で体に染み込ませていくのは「感覚」であり「イメージ」で右脳の仕事です。この両方が備わると、局面を見ただけで「急所」や「最善手」が見えるようになってきます。

しょうぎーくが大事にすること

楽しく読んでアマ四段まで

しょうぎーくは、手筋・形の解説を中心にして、読みながら勉強をすれば、読者をアマ四段クラスまで導けるサイトにしたいと考えています。最低……アマ初段まではと。ネット上にある将棋上達の高速道路の一つになれればいいなと思っています。
アマ高段者のその先は? というと正直、自分自身その先の世界には辿り着けなかったので将棋講座として書くことはできません。その先は自分で切り拓くしかないのです。
強いコンピュータ将棋の登場によって、上達の高速道路で辿りつける地点はかなり遠くまで伸びているのではないかと思っています。ポスト藤井四段世代とか考えるだけで楽しみですね。
橋本は一応、一般文芸小説家的な何かなのですが、本サイトは将棋に興味のある人以外は対象にしていません。更新の9割は将棋の図面付きにしますし、将棋用語を使いまくります。でも、真面目一辺倒になることなく、適度にふざけてエンタメ的に将棋の勉強ができる記事を書いていこうと考えています。

将棋界の周縁に注目しよう!

将棋雑誌も昔は将棋世界以外に、近代将棋や将棋マガジンというものがあってふざけたり、エンタメったり、アマチュアったりする部分が書かれていたのですが、どちらも廃刊になってしまいました。将棋世界も面白いのですが、一誌だけになってしまい書かなければならないことが集中してしまったので、「真面目かっ」と突っ込みたくなってしまう記事構成になっています。
ただ、将棋ファンの多くがネットユーザーになっているこの時代、将棋に関しても様々な表現者、表現媒体が出てきていると思います。橋本はキンドルセルフパブリッシュやyoutube、個人ブログなどに注目しています。

まとめ

初回は文章だらけのエントリになってしまいましたが、しょうぎーくの考え方は伝えられたのではないでしょうか。ぐだぐだと書いてしまったので、暇な時にでもお読みください。将棋ってどんな勉強法があったっけなぁ……という時にどうぞ。


<補足>大局観について

 手筋、形を体得することに加えて大切なことがあるとしたら、「大局観」「形勢判断」になる。これは将棋プログラムだと「評価関数」。手筋を繋げていった先の局面がよいか悪いかが判断できないと、手をうまく選択することはできない。

1.左脳的な考え方……「①駒の損得②玉の安全度③駒の働き」で、序盤・中盤・終盤にわけてそれぞれの優先度で点数化して機械的に形勢判断をする方法がある。(昔の谷川先生の本や、高野先生の本に書いてあったと思う)
2.この左脳的な形勢判断は7,8割の局面において正確に機能すると思うけど、微妙な条件の差で変わってくることが多いので、結局たくさんの実戦・観戦・局面を考えることを通して右脳的(感覚的)に習得しなければならない。